「アンニョン・ソウル」

(無断転載不可、商業的使用目的でのコピーは不可)

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澤村正之: ssc@medical.email.ne.jp
新宿さくらクリニック 泌尿器科
http://www.ne.jp/asahi/ssc/sakuraclinic
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アンニョン・ハセヨ サワムラ イムニダ。
チクムロブット チェミナン ソウルヨヘンェ ハムケカプシダ。

こんにちは澤村です。
これから楽しいソウルの旅をごいっしょしましょう。


***アンニョン・ソウルPart1***
『素敵な出会い・ガイドはいかにして日本語を学んだか』
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予告編でお知らせしましたとおり、私たち医院の今年度の職員旅行は10月27・28・29日の週末を使い韓国,ソウルに行ってきました。当院は,地域がら患者さんの3割が韓国系の方です。中には日本語が上手でなかったり,微妙なニュアンスが伝わらなかったりする事に悩まされてきました。

そこで4年前から在日3世の職員に通訳をお願いしています。以前から彼女を通じて一度は韓国を訪れて見たいと願っていました。そこへ,今年の7月に韓国第1放送局(KBSテレビ)が医薬分業の報道番組のために当院を取材にやってきましたので,今年は韓国にと決めました。

さて,どうせ行くならお仕着せの旅行はしたくありませんので,出発前から職員とミーティングを何度となく開いて,片っ端からガイドブックを集めて,現地上の入手に努めました。しかし,どのガイドブックも、買い物,エステ,焼肉の記事ばかりでたいしたことがなく,出発直前には『つまらなそうだな』と思う始末でした。

そんなとき,二年前まで日本に留学していて,今はオーストラリアに留学している知り合いの女性が,たまたま日本に来ていて、『韓国でガイドを探してる』と打ち明けたところ,テレビタレントの妹を紹介されました。当初,その妹がガイドしてくれるというので,否応なく盛り上がりました。なにせその姉妹はそろって超美人で気立てもいいのです!!
しかし,残念ながら,というべきか,当然というべきか,彼女のスケジュールはつきませんでした。変わりに,日本語が上手な男友達を紹介してくれる事になりました。

ソウルに着いてすぐにテレフォンカードを手に入れ,東京で教えてもらったガイド氏の携帯に電話しました。何か,真面目だけれど,冷たい感じの応対で,若干後悔しました。そして,午後6時に明洞のロッテホテルのロビーで待合わせる事になりました。悪い予感は的中,10分過ぎても彼は来ません。もう一度電話したら,なんとロッテワールドホテルのロビーにいると言います。東京のニューオータニと浦安のホテルを間違えたみたいなもんです。

おなかもすいてきたし,フグ料理屋の予約の時間も迫っているので,スタッフ達を先に行かせて,私一人ロビーで待つ事30分,息を切らせて一人の青年がロビーにかけこんで来ました。ガイドを頼んだ金(キム)さんです。

『みんな先にタクシーで行きましたから,すぐに追いかけましょう』と提案したところ,『地下鉄なら5分で行けます』との答えに,二人で地下鉄に乗り込みました。自己紹介から国内事情など,地下鉄の中で彼といろんなお話をしました。が,しかし…

駅は二つのはずなのに,話に夢中になって五つぐらい通りすぎたところで金さんが『うっ!』といって頭を抱えてしまいました。状況に薄々気づきながらも『どうしたの?』 なるべくやさしく声をかけました。『すみません。方向を間違えました』 明洞から新村に行くはずが、反対方向にのってしまいました。二人が気がついたのは,彼が通っている経済大学のある駅でした。後で分かった事ですが,彼はすごく慎重で優秀な人です。ホテルを間違えたばかりでものすごく緊張していたに違いありません。私はこの”事件”でかえって彼を気に入りました。

金さんはプサン出身、海軍の兵役を二年半務めて大学に復帰した経済大学済学部の学生さんです。海軍では軍楽隊に所属していて,いまでもトランペットでバイトできる腕前だそうです。兵役の最中,『ヒマつぶし』のために調理師の免許を取る事と日本語の勉強をしました。日本語は全くの独学で,テープを一本,ヒマな時間に二年間聞きつづけただけでした。

そのご,秋田から北海道へ旅行したときに、全く日本語が通じなく,悔しい思いをしたので,帰国後数ヶ月日本語を勉強しなおして,今度は広島に旅行後、福岡に二ヶ月間のショートステイをして、多くの友達を作って日本語を身につけました。彼は知らない町の駅で寝る事もいといません。青森,広島,博多でそれぞれ駅にお世話になったそうです。彼が友達を作るのは居酒屋です。始めての日本で食事に立ち寄った居酒屋の若夫婦に親切にされたのが,日本語をしっかり話せるようになりたいと思う動機になったからです。

彼は根っからの旅人です。私一人だけなら彼ともっと迷い道をしたかったけれども,総勢8人のツアーの隊長としては,迷ってはいられません。私はガイドを頼むとき,『お仕着せのツアーでなくて,地元の人が遊びに行くようなところに連れていって欲しい。』と頼んでいました。シンガポールでは,ツアーを抜け出して市民プールで半日遊んだ事が一番楽しかったからです。ソウルでも道に迷う事を楽しんでいる私に金さんは『先生は観光よりも旅がお好きですね』と言われました。『それはあなたと同じです』と答え,ようやく金さんの緊張が取れて打ち解ける事が出来ました。

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さて、韓国旅行記の第1回目はいかがでしたでしょうか。
次回は市民へのインタビューを交えた庶民の感覚,金大中大統領の人気、医療問題への考えなどをレポートいたします。カムサ・ハムニダ


***アンニョン・ソウルPart2***
『ソウルの庶民感覚・インタビューと筆者の雑感』
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まず,今回の訪韓の目的のひとつは,以前皆様に取材協力をお願いした医薬分業に伴う医師のストライキの現状を見てくる事でした…が、週末に到着した事と、現地の医療関係者を知らなかった事と,なによりも遊びに夢中でしっかりとした取材は出来ませんでした。市民にインタビューもなかなか出来ません。インタビューの相手は金さん(経済学部学生25歳)と,旅行代理店の女性ガイド (30代前半?)、ホテルの従業員(40代男性)です。皆さん日本語もできるし,学歴の高い人達ですし,母集団は三人だけと小さいので、本当のソウル市民の意見を代表してはおりませんのであらかじめご了解下さい。

その1・医療問題と庶民感情
『医師のストライキは,患者の批判が強くなったのでもう終わった。』、という人と,『医者のストライキのせいで、腰痛の友達が手術をしてもらえないで苦しんでいる』(恐らく椎間板ヘルニアでしょうか)、意見が分かれていました。話を聞くと,医師会内部でも意見がわかれて,ストを解除する人達が出てきている模様ですが,まだストを続けているグループもあるそうです。

『医薬分業についてはどう思うか』の質問には,皆さん口を揃えて、『政府が言うような医療の質の向上は期待できない』、『医療費が高くなって医薬分業を歓迎していない』、というものの、『患者の命をたてにして自分たちの生活を守ろうとする医師たちは許せない』、『医師は悪者の代名詞になった』、『ストライキは患者のためでなくて医者のためにやっているから賛成しない』、マスコミも同様な論調のようです。ドラマでも悪い医者がよく出るようになったとか。医師に対する感情はこの国では過去最悪になってしまった模様です。

その2・南北関係
政治の問題はMLの主旨にそぐわないので、なるべくかんたんに。
二年前の北朝鮮潜水艦座礁事件の写真をバックに『間違えている事は間違えている!!』と,暗に金大統領の和解政策を非難する地下鉄のポスターがあちこちで目に付きました。そのポスターを掲示しているのが,半官半民の組織だそうですが,そこ自体,天下りや汚職のうわさがあって,怪しい組織だそうです。金さん曰く『南北の和解にはあと10年かかる。今は,金大統領の外交政策と,北朝鮮の対アメリカ政策の利害が一致しているだけだ』と,とても冷めた”お言葉に”多少びっくり。そういえばノーベル平和賞を祝う横断幕はソウル市庁など,政府関係機関にしか見当たらない状況で,旅行会社のガイドさんは『金大統領は外交は上手だけれども,国内の事をおろそかにしていて,指示しない』と厳しいお言葉でした。

その3・庶民の生活
給与は10万円からよくても15万円ぐらいですが、ソウルは家賃が高くて,平均的なマンションでも7万円以上するそうです。(旅行会社ガイドさん)この人は『家賃は日本並みなのに給料が安いから,生活が苦しい。そのうえ毎年公共料金が20%づつ値上がりしている。しかも医薬分業になって医療費も値上がりしたのがとても不満だ。』つまり,共働きでなければ生活が出来ない状況なのだそうです。
一方,東大門や南大門周辺,その他の繁華街には夜中まで人があふれ,旺盛な購買意欲があることも事実のようですので、前述の生活苦の話が100%信用出来るかどうかは???

その4・ワールドカップ2002
街のあちこちで”World Cup 2002 in KOREA"が目立ちます。この国の人達は,日本と共同開催をする事を忘れてしまったか、意識して忘れようとしているているみたいです。でも,スポーツ新聞のトップはプロ野球でした。サッカーはシーズンオフなのかな。サッカー人気はどうなんでしょうか。本当のところは分かりませんでした。

その5・Visitor's KOREA Year 2001 とは
これも街のあちこちでよく目に付いたポスターです。ソウル市が市民達に外国人にもっと笑顔で接しようと呼びかけているものです。金さん曰く『韓国の人は,皆親切なのに,顔は怒っているみたいだ。外国の人に怖がられないよううに,もっと笑顔で応対しましょうと呼びかけてるんです。でも,一般の市民は逆に外国人が怖くて話し掛ける事が出来ません。』
うちの職員が街を歩いていたら,修学旅行の女子高生に声を掛けられました。『一緒に写真を撮って欲しい』すぐ後ろにいた私もいれてもらいました。聞けば彼女達は日本語の単位を取っていて修学旅行の宿題で,日本人観光客に声をかけて一緒に写真を取る事が課題だったそうです。これもVisitor's KOREA Year 2001に付随した運動なのかなァ。などと思いつつ,でもおじさんはうれしかったぞォ。
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第2回めの韓国旅行記,いかがでしたか。慣れないインタビューで核心に触れることが出来ませんでした。期待を裏切ったみたいで恐縮しています。でも,日本にいて聞こえてくる事と現地の温度はかなり違うみたいでした。それがわかっただけでも収穫がありました。


***アンニョン・ソウルPart3***
食のお話・その1・郷にいれば郷に従え
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今日は待望の(?)食のお話。でも,皆様の期待を裏切るようで恐縮ですが,お店のガイドにはなっていません。だってMLには私なんかよりもずっと詳しい方が大勢いるでしょうから,この話は避けて通ろうかなとも思いました。ですからお詳しい方,フォローをお願いしますね。

その1・当てにならないガイドブック
日本で集めたガイドブックに載っているお店にはいっていけません。割高でおいしくありません。入り口に『日本語が通じます』と書かれてあったり,店の看板に日本語がいっぱい書いてある店もやめましょう。そして極めつけは日本の雑誌( TokyoWalkerなど)の紹介記事を店頭に飾ってあるところは、敬遠しましょう。地元の,しかも女性のグループが利用しているところをみつけましょう。女性はどこの国でもおいしいものをよく知っていますから。

・・・で、初日の夕食は,フグ鍋のお店を東京から予約しておきました。『有名な』お店なんだそうです。でも,ここは大失敗。
medpract14507で、
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”ああ,ふぐが食べたくなってきました。
来週韓国・ソウルに行って来ます。急きょ焼肉カルビを一回減らして、
ふぐ屋に行く事にしました。ガイドブックを見ると
三湖鰒家 西大門区倉川洞 が有名みたいです。
         ↑さんずいがつきます”
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などと知ったかぶってご紹介したところです。フグは冷凍ものでしょうか。身が白くにごっていました。それをえのきに巻いた物が出てきます。鍋に入れて煮て食べます。さすがにまずいものではありませんが,有り難がるほどの物でもありませんでした。ここはえのきを良く使う店で,フグのあらをえのきと混ぜたカラー---イ料理も出てきました。から揚げは一口サイズよりももっと小さく,もとの魚の大きさがしのばれました。このお店はうえの『はいってはいけない条件』をすべて満たしていました。

予約なんか取らなくても街中にはいけすにふぐを入れている食堂がいくらでもあります。いけすを覗きながら街を歩くのも面白いです。えびやたこ,ひらめ、スズキなんかが入っています。

その2・二日酔いの朝はソルロンタン
ふぐで失敗した翌日,朝から金さんがホテルに迎えに来てくれました。8時にホテルを出て途中、白バイのポリスに教えてもらったお店でソルロンタン(雪濃湯・一人前 500円)が,朝食にぴったりです。白くにごった牛すじ?のスープに、麦飯を入れて,岩塩とキムチでお好みに味付けします。二日酔いの胃袋にはとてもやさしかったです。

その3・郷にいれば郷に従え
フグで失敗した澤村一行は,プサン出身の金さんから意外な言葉を聞きました。『魚料理の中で博多で食べた刺身や寿司が一番うまかった』というのです。フグでの失敗の原因はガイドブックを信じた事と,『日本で食べれるけれども高いものを韓国で安く食べよう』などとスケベ心が働いたためです。現地に行ったら現地の食べ方が一番うまいはずだと気づきました。気づいたものの,その半日後に,あやうくおなじ間違えをくりかえしそうになりました。

二日目の夕食は焼肉の高級店,ミョンドンの”コムソッチプ”に行きました。この店の自慢は”韓牛のカルビ肉を塩コショウだけで食べさす”ものです。日本では和牛が有り難がられますか,さすがに韓国では韓牛が一番らしいのです。ステーキ風な食べ方ですが,いい肉でないと台無しになってしまう趣向です。大分や大久保で仲良くなった焼肉屋のママさんたちに『韓国の金持ちはこうして食べるのよ』と聞いていたものでした。しかも一人前 1,800円。東京では信じられない値段です。

即座に私はこれを注文しようとしました。しかし店員のおねいさんにたしなめられました。『ここでしか食べられないタレにつけこんだ骨付きガルビを食べていってください』私は半日前の事を思い出し,素直にこの言葉に従いました。出されたものは骨の長さ15cm,骨下の肉が20cmほどの巨大な骨付きガルビ。一人前がこのボリュームでなんと1600円!!あっさりとしていてほんのりと甘く,脂っこさを感じさせない上品な味でした。
もちろん大満足………しかし,上には上があるゾ。この続きは次回Part4へ。
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アンニョン・ソウルPart3,いかがでしたか。グルメぞろいのメーリングリストに投稿するのがはばかられるような内容ですみません。でも,書き始めるといろんな事が書きたくなって,恥をしのびつつもついつい食のお話は次回も続きます。次回は真打・サンゲタン〔参鶏湯〕の登場と、焼肉ガルビ高級店と庶民の行く店の比較を予定しています。


***アンニョン・ソウルPart4***
食のお話・その2・参鶏湯、焼肉比較高級店VS庶民店
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その1・サンゲタンを求めて街をさまよう
ご存知の方も多いでしょうが,サンゲタン(参鶏湯)は鶏のはらに朝鮮人参などの薬草や,もち米そのほかを入れてスープで煮こんだ薬膳料理です。本場韓国に言ったらぜひ食べて見たいと思っていました。初日の昼ご飯に予定を組んでいましたが,旅行会社のガイド(金さんではありません)の妨害にあって実現しないまま、三日目の朝を迎えてしまいました。帰りの迎えまであと三時間,金さんのガイド無しに知らない街に繰り出すのもためらいましたが,サンゲタンが私を呼んでいる……女性たちは朝からハンジュンマクエステだし、残された男5人で少しは冒険してもいいかな。はぐれたらケータイも有るし・・・・と,言う事で他のメンバーを巻き込んでミョンドンの街に繰り出しました。

出来れば庶民の行く店に行きたいと思い,街をさまよう事45分,表通りから二本はいった路地裏の袋小路、しかも道路工事中という悪条件の中に,『参鶏湯』の三文字を発見。看板にはハングル文字が踊り,隅っこに申し訳程度の日本語がかいてあります。しかし、きたない。入るべきか,写真だけとって帰ろうかと悩んでいたら,ちょうどそのとき出前から帰ってきた店のおじちゃんに声を掛けられました。意味はわからないものの,きっと『シャッターを押してやろう』といっているのだと思い,記念撮影。そうなればお店に入るしかない。覚悟を決めてドアをくぐりました。店の中にはデパートの店員のような若い女性二人組みや,学生さんと思われるグループがにぎやかに食事をしていました。お店はおばちゃんが取り仕切って,厨房にさっきのおじちゃんともう一人男性が働いていました。もちろん日本語は通じませんが,身振りで意思は伝わります。直感的に『ここは当たりだ!』と思いました。

サンゲタンは石の器でぐつぐつ沸騰したままのものが運ばれます。味付けは自分で塩を入れて調整します。スプーンで鶏の身が簡単にほぐれ,良く煮込んである事がすぐに分かりました。鶏肉もうまいけれども,お米入りのスープをすするのがまた格別でした。いつもはうるさい男達が,サンゲタンを食べる間無言でした。こんな庶民的な食堂でこんなにうまいサンゲタンを出すとは,韓国の食文化に脱帽でした。

男5人でサンゲタン2,豚ガルビ2,牛ガルビ2,プルゴギ2,メッチュ〔ビール〕8,ジンロ3,大満足のお値段は、9000円ちょっと!!安い!!うまい!!!思わずおばちゃんと手を繋いで記念撮影をしてしまいました。
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明洞2街4−1
石泉食堂 Tel 777‐4284
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その2・高級店VS庶民店
骨付ガルビに付いて高級店”コムソッチプ”と庶民店”石泉食堂”で比較しました。あなたは常連になるならどっちに行きますか。
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     コムソッチプ    石泉食堂
〈値段〉     骨付きガルビ
      1600円      1200円
            〔豚ガルビ600円〕
         プルゴギ
      1600円      1000円
         サンゲタン
       なし      800円
〈質〉 骨下18センチ強   測定不能。
              2/3は骨についてない
〈形〉 長方形       ぼろぼろ
〈味〉 上品でやわらか。  ちょっとしょっぱめ
    日本よりうす味   タレが濃い
  そのまま食べるといい  野菜に巻くとちょうどいい
〈野菜〉サンチュ・大葉   サンチュ・大葉
              ・キムチ食べ放題
〈店員〉制服のお嬢さん   エプロン姿のおばちゃん
〈トイレ〉センサー付き   水道からホースで
     オート水洗    ”セルフ水洗”
     木目調内装    タイル張り
 歯ブラシのサービス付き  セルフ掃除用モップ付き
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韓国旅行記,本題よりも食の話に引っ張られてちょっと横道にそれてしまいました。
が,次回は地元の大学4年生の金さんが勧めるソウル観光と,私たちが南大門市場で体験した朝鮮人参をどうやって買ったかの体験記です。観光ガイドには載っていませんので,ぜひご覧下さい。



***アンニョン・ソウルPart5***
「Aコピー、Bコピーの怪しい誘惑」
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今日は避けては通れない率直なお話をしましょう。メールの趣旨から多少外れますが,もちろん政治的な意図は全くなく、私の野次馬的雑感を正直にお伝えする事なので文責は私にございます。もしもご批判があれば甘んじてお受けいたします。

・・・・なあんて、硬い調子のイントロで始まりましたが,お帰楽な澤村ですので,難しい話ではございません。ご心配なく。

皆様韓国旅行といって,どんなイメージを持たれますでしょうか。いまやショッピングとエステ,グルメと言った所でしょうか。いえいえ、カジノ,コピー商品,買春目的の旅行者もまだまだ多いはずです。この点は外国から『フジヤマ・芸者・猿まね』といわれた〔今も言われてる〕日本だって似たようなもんです。ここでは事の善悪をとやかく言うつもりは毛頭ありませんが,このような日本人に根付いてしまった韓国にたいするネガティブなイメージを、今回の旅は見事に払拭してくれたのがこのシリーズを書き始めたきっかけだったから,そして、そもそもそのようなイメージを持つ事自体が偏見のあらわれであって,その国の人達に対してどれだけ失礼な事か,身を持って理解できたつもりだからです。

が、しかーーーーし、ネガティブイメージを作り出している責任がすべて日本人旅行者にあるといわれるのは如何なものでしょう。〔このMLにそんなこという人いないか。〕日本人男性を見るとみんながコピー商品や買春が目的と思われるのは,逆の意味で偏見だからです。この事は市内バスの中で金さんと議論しました。日本語の分かるバスガイドには嫌な顔をされました。ひとの国で,善意の人の前でそんなこと言ってはいけないんだと,多少反省モードの澤村でした。

その1・二億ウォンのローレックス
1日目,ソウルについたもののまだガイドの金さんと連絡がつかず,予定していた革製品を見にタクシーに乗って梨泰院に向かいました。タクシーの運転手は愛想がよく,一見親切そうで多少日本語が出来るのでほっとしました……このホッとするのが旅先では曲者だ……自分にそう言い聞かせながら道すがら彼とおしゃべりしました。彼はしきりに貸切で案内をさせるように言ってきます。『買い物,焼肉,女,ピストル射撃…どこに行きたい?なにがしたい?』いちいち説明してくれます。更にたたみかけるように,『知らないと韓国は恐ろしいこともある。ぼったくりにも遭うから私が紹介してあげよう。』内心”あんたが一番危ないんじゃないの?”

”不案内な土地でであったやさしい叔父さんにこのままお願いしようかしら”ついつい気持ちが揺らぎながらも、『現地のガイドがついているから』の一言で振り切る事が出来ました。もしも金東完さんと約束していなかったら,15000円で1日貸切タクシーも悪くはない選択のようにも思えてくるから,旅先では自分をしっかり持つ事が大事ですね。

…で、いまいち脈がない私たちに,運転士氏は取っておきのものを見せることにしたようです。渋滞で停車中に,ごそごそして取り出したものがあります。『ちょっと持って見てごらん』言われるがままに受け取ったのはずっしりと思い金属の塊,ピストルではありません,腕時計でした。私は腕時計でこんなに重いものを持った事がありません。文字盤にはびっしりと”ダイヤ”が埋め込まれ,ロレックスの王冠マークがかすんでしまうほどに輝いています。”や”のつくご商売の方々が好みそうなどぎつい趣味、筋力を鍛えるために空手選手が身につけそうな重さに圧倒されました。『ロレックスの Aコピー。ほんものそっくり。本物だったら二億ウォン。これがたったの二万円で買える店に連れていってあげよう。』と言いながら,運転士氏は得意げに自分の腕に巻いて見せます。世の中にそんな現物があるわけがありません。だって、文字盤にデジタルウォッチがはめ込まれたローレックスなんて持ってたらMLの皆さん誰も口をきいてくれなくなっちゃうでしょう。こう言うのはジョークの部類の”Bコピー”なんだそうです。

その2・買ったその場でプラダに変身
梨泰院は米軍基地の近くにあるため外国人観光客が集まる街です。一流のスポーツブランド店もありますし,怪しげなコピー商品を扱う店も集まっています。特に革製品のお店が多く,コートや靴など,しっかりしたいい品物が安く手に入る事で有名です。”日本からはなるべく軽装で行って,現地で革のコートを買って着て帰ってくる”事も今回の予定に入っていましたから,着て歩く服がありません。初日に梨泰院に直行したのはそんな理由がありました。

で、無事革のハーフコートを入手して喜んでいたら,店のおばちゃんが,『ついてこい』というのでぞろぞろと8人がついていきました。おばちゃんは店をほったらかしにして,違う建物にある、バッグ専門店に案内してくれました。どの品もとてもセンスがよくて,値段も安いし,私はみやげ物を入れる大き目のバッグが欲しかったので、”ORIGINAL”というブランドのものを一つ買いました。すると、目の前で”ORIGINAL”のバッチをはずして”PRADA”のバッチにつけかえるではありませんか。

わたしはホテルでバッチをむしりとってしまいました。だって、バッチがなければ”本物のORIGINAL”なんだから,その方がPRADAのコピーよりよっぽど価値があるように思えたからです。帰りの飛行機で,非常口近くだったのでスチワーデスのとなりでした。成田で降りるとき私のバッグの逆三角形の台座にあるべきものがない事に気がついたのか,彼女はなにか言いたそうで言えないみたいで、黙ったままその台座を見ていました。『ニセモノだから取っちゃった』と正直に言ったら,納得した様子でニッコリしてくれました。笑顔がかわいかったぞぉ!!

その3・Aコピーは一見の価値あり???
前述のおばちゃんは私たちを店の奥に案内して椅子を勧めてくれました。何冊か日本語のカタログや女性雑誌を広げ,『好きなものを注文して』といいます。きらびやかなブランド品の数々。まあ,私には無縁の世界だと思いながらも,”Aコピーってどれほどのものか”という興味はありましたので,いくつかの時計を指差しました。するとおばちゃんはどこかに電話で注文を出して,私たちが言ったもの以外にもいくつか言いつけていた様子でした。数分後,かばんを抱えたおじさんがやってきてショウケースの上で見せてくれました。タクシーで見たBコピーとは違って,細部まで本物そっくり〔本物を詳しく知らないので”そっくりらしい”〕です。こっちは重さや金属の色艶まで似せて作ってあるのだとか。でも,外観がよく似ていても,ムーブメントはおもちゃ同然。これだけ似ていると,やっぱりジョークでは済みそうにありません。旅行の責任者としてはメンバーの安全も気になりました。引き留めるおばちゃんを振り切るのが一苦労でしたが,『DFSで本物を見てからあした出直すから』とうそを言って店を出ました。

あんな技術力がある職人さんは,きっと自分の”本物”を作りたいんだろうな、と思いました。

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アンニョン・ソウルPart5、いかがでしたか。今だから『ちょっとスリルを味わった』なんてのんびりしていられますが,外国でタクシーに乗ったら,怖い人だった,なあんて話はざらにあるので,後ろにはうちの大事な職員達もいるし,私本当に肝をつぶしたんですよ。ダラスでタクシーがセルフのガソリンスタンドに入って運転手が車から出ていった時とおなじくらいに緊張しました。『ガソリンスタンドのロッカーにピストルを隠して強盗にはやがわりするドライバーがいる』と聞いていたからです。でもそのドライバー氏は、ホテルにつて、安心のあまりチップを余計にあげたら,ドアボーイに両替してもらっておつりをくれたいい人だったんです。

さて,次はいよいよ最終回。Pat5で韓国のネガティブイメージの話題でしたので、今度はその反対,韓国の若者達の健全な姿をご紹介いたします。


***アンニョン・ソウルPart6***
市内巡回バスの旅と正しい人参の買い方
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回を重ねてだらだらとやってきてしまいました。長い間どうしょうもない駄文にお付き合い頂きました事に感謝いたしますとともに,MLのお邪魔をした事につきましてお詫び申し上げます。特に重複されたかたがたには大変申し訳なく思っております。お許し下さい。

今回はソウル市内を足で歩いた旅行記です。

その1・Seoul City Tour
ソウル市内の地下鉄やバスの案内板にはハングルは当然として,英語の表示はありますが,日本人が判別できる漢字が少なく,ましてや日本語の標識なんて皆無です。ついついタクシーになってしまうのもうなずけます。しかし、10月からソウル市内に日本人旅行者にとってこころ強い味方が現れました。。Seoul City Tourという名前でソウル市内の観光名所を巡回するバス路線です。現在試験的に開業しているのです。

空色のポールがバス停の目印で,SHUTTLE BUS STOPとかいてありますが,地味なので見逃しそうになります。

大型観光バスで席もゆったりしていて,停留所の案内は録音のアナウンスでハングル,英語,日本語で言ってくれますし,搭乗したガイドさんが簡単な観光案内をしてくれます。各座席には市内の地図と観光スポッとの説明用パンフレットがはさんであり,至れり尽せりで、1人500円で1日中乗り降り自由,バスを待って,車掌兼ガイドさんから切符を買って乗車します。次からは切符を見せるだけです。朝8時の始発から夜8時40分の最終便まで約25分間隔で運行しています。

まだ,ガイドさんたちのトレーニング期間だそうで,日本語の案内が上手ではありませんでしたが,彼女たちの一生懸命さと,チョゴリのデザインをアレンジした制服のボレロのうつくしさに免じて許してあげましょう。本当にこの制服のデザインは一見の価値があります。

その2・大学路〔テハンノ〕・ソウル大学医学部近辺
Seoul City Tourのコースは光化門〔東和免税店〕から市内の主なホテル,ソウル駅,南大門市場,梨泰院、東大門市場、大学路、昌慶宮、国立民族博物館等々の観光スポットを巡って世宗文化会館までのコースを巡回しています。

大学路は,かつてソウル大学があった場所で,今でも医学部や,多数の大学が集まり,当然,文化,演劇,音楽などの小劇場,しゃれた喫茶店,ソウル最大のジャズクラブなどがあって,学生達のちょっとしたデートスポッとになっています。街路樹もキレイに整備されていて,ちょっといい町並みです。日本で言えば青山あたりになるのでしょうか。もうちょっと落ち着いた感じに見えました。

ここのCDショップで洋楽のDVDを買いました。1本2700円,CD1200円、日本よりかなり安いようです。日本語の歌はまだ解禁ではないはずですが,『手塚治虫アニメ主題歌集』なんかドドーンと店頭にありましたし、海賊版ではなくて,日本の歌手のコーナーもありました。街を歩くと日本語の歌がよく耳に入ってきました。政治よりも文化の交流の方が早いんですね。

そんな大学路の裏道に”ROMA HOLIDAY”と言う喫茶店があります。うすピンク色のきれいな建物で,内装にも凝っていて,ほかの客席と目が合わないようにするためか,少しづつ段差がある作りです。週末の昼下がり,日差しが入る喫茶店で語り合う恋人達の目には、闖入した日本人旅行者8人は,どのように映ったのでしょうか…語らいの邪魔をしてご免ね。

その3・仁寺洞〔インサドン〕は懐かしい町
民芸品などのみやげ物屋はこの街に集まっています。日本人の姿は少なく,地元の修学旅行生が多く目に付きました。家具屋さんに入って美術品のような家具を見るのも善しです。店の中には螺鈿細工の家具に混ざって,現代風の工芸家具が並んでいます。どれも木材をふんだんに使って,日本で見るようなクズ木の寄せ集めみたいな安っぽいものではありませんでした。しかも日本よりもずっと安い。『もしも家を建て替える事があったら,きっとここにきて家具を選ぼう』密かに思う澤村でした。

インサドンの街は一方通行の一車線の自動車道路の両側に歩道があって,両脇に商店や露天商がならんでいます。その露天がまた懐かしい。膨らました米に砂糖蜜をつけたボールや、切り飴のパフォーマンスを見ていると,ついつい駄菓子が食べたくなります。よく見ると似たような屋台でも長い行列の出来る店とそうでない店があったりして。行列の出来る店からは決まってなにかの音が絶え間なく鳴り響いて,活気を与えてくれます。

その4・正しい人参の買い方
韓国と言えば朝鮮人参。これの入手方法が今回の旅行の山場でした。金さんにはひとつの企てがありました。人参を高い値段で買うのではなく,行商のおばちゃんから買おうというのです。うわさによるとこの”人参おばちゃん”は、南大門市場のどこかの路上に出没するらしいのですが,その日によって場所が違うとか。おばちゃんを探し出すのがひとつのゲームになったわけです。

金さんを先頭に時にはお店をひやかしながら南大門市場をさまよい,地元の年寄りに”人参おばちゃん”の消息を訊ねながら、歩く事1時間。ようやくおばちゃんを見かけた人に会いました。『そのおばちゃんならこの先にいるよ。でももうすぐ店じまいするはずだから急いだ方がいいよ』と言うのです。わたしたちは南大門市場の人ごみをかき分けて走りました。最後の50メートルは全力疾走です。

やっと地下鉄の出入り口の横に,ぺたんと座り込んだ老婆を発見。まさにボストンバックに荷物を詰めこんで店じまいを始めたときでした。『おばちゃん待って!』日本語が飛び出します。ゼイゼイ行きを切らした私たちに気づいてくれました。おお、しわくちゃの顔がかわいい。人参と見分けがつかないぐらいに日焼けしてざらざらな指がいとおしい。

買い物用の薄いビニール袋に無造作に人参を詰めこんで行きます。人参は泥がついてはいるものの親指より太くて,きれいな粒ぞろい。片手で 3つまみ、結構な数が入ってなんと16000ウォン〔約1600円〕。それを,いちいち上皿天秤にかけて,必ず人参の方が下がるようにしてよこしてくれます。合計3回もやってくれる律儀なおばあちゃんでした。

安すぎるからニセモノかって?いえいえ、人参をぶら下げて街を歩いていた職員が薬局のおじさんに呼びとめられました。『あんた,その人参どこで買ったの,いくらだった…いい買い物をしたねぇ』心のそこからうれしい買い物って,こういうものなんですね。
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アンニョン・ソウル,韓国旅行記はこれでおしまいです。ほんの3‐4回のつもりで始めたのに書き出すとあれこれ浮かんできて,皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。金さんとすごした楽しいソウルの3日間の出来事に浮かれていましたが、すべて書き尽くしたので,やっと日常の診療に身を入れて励むことができます。

拙文にもかかわらずお付き合いいただいた皆様,暖かい励ましのレスを下さった皆様に心から感謝申し上げます。  アンニョンヒ・ケセヨ カムサハムニダ