「外来医師の心得」

(無断転載不可、商業的使用目的でのコピーは不可)

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
神津 仁 Hitoshi Kozu M.D., Ph.D.、E-mail:toshi88@ff.iij4u.or.jp
世田谷区若手医師の会HP:URL:http://www.iijnet.or.jp/SYPIS/
あかるく、あせらず、あきらめず!
いつも心に太陽を!!
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/


****心得の1****
大藪先生

前略 これから先生に外来診療をお願いすることになりますが、どうぞ宜しくお願いいします。

ここでは、竹田先生、上野先生にもお話ししたのと同じ「外来医師の心得シリーズ」をお教えしたいと思います。

大学時代の私の外来は、朝の外来が午後の3時までずれ込むほど、患者さんがたくさん来てくださる人気のある外来でした。開業後の今も、同様に続いています。それは、私のイニシャルのH(heart warming)K(kindness)に由来する態度だけでなく、以下の心得を自分に架していたからと思います。
-------------------------------------------
N:not-arrogant(傲慢でない)
E:explain(よく説明する)
P:plain(患者さんに分かりやすく、平易な言葉を使う)
P:polite(丁寧で礼儀正しい態度)
S:sure(正確で正しい診断・治療・指導)
-------------------------------------------
これをNEPPS(ネップス)と読んで下さい。
特に、言葉遣いは重要です。子供にも「はい、口を開けてください。後ろを向いてください。」と、「…して下さい。」と丁寧語を用いることが大切です。また、自分より目上の患者さんに、「はい、おじいちゃん、こっちむいてぇ」などといった言葉遣いは失礼ですので、必ず名前を呼ぶことにします。また、同年代の患者さんにも、「平気、平気」とか、「大丈夫だよ」とか、「うん」「そう」「じゃ」などといった言葉を使うことなく、「問題無いと思います」「大丈夫でしょう」「はい」「そうですね」「それでは」といった正しい外来日本語を使うことが、病院の顔である「外来医」には特に望まれます。

ご参考までに。


****心得の2****
大竹先生いつもお世話になっております。

ポンタール、ロキソニンなどの消炎鎮痛剤は、急性上気道炎には「頓用」でしか保険適用になっていません。分3、分2で何日分か出す時には、「膝関節痛」「肋間筋筋膜炎」などの病名が必要です。
その結果、神津内科クリニックでは、 
------------------------
★スルガム  2T
頓用:熱発、疼痛時 6回分
-------------------------
と出すことにしています。
これなら、上気道炎のみの病名でOKです。

査定されない診療をだんだんに覚えていってください。


****心得の3****
山川先生

前略 今回は、「保険診療とカルテ」について、少し詳しい御話しをしようと思います。

まず、これは基本的な事柄ですが、日本の医師、特に東京地区のソロの開業内科医(特に神経内科医)は、今の保険医療体制においては、経営的に非常に苦しい状況におかれています(保護されていないともいえます)。しかも、最近の医業(特に都内での)というのは、他の業種と比べて利益率は低く、同年代の同教育水準の勤労者と比較しても、年収はかなり落ちる状況です。しかも、専門医としての加算もなく、勿論良医としての加算など有り得ません。

現状では保険医として「良い地域医療を実施している医師としての正当な評価」を自分でする(というのも、医療費は自分でしたことを、自分で申請して、支払われるので)、ということしかありません。もし、自分のした医療行為のカルテ記載が漏れたり、窓口で事務的処理がなされなかったり、保険請求(レセプト)に漏れていて請求しなかったら、それは無視され(誰も「これが抜けていますよ、これを取った方が良いですよ」とはいいません)、実際には一所懸命やっていても、一銭にもならないのです。

人件費、賃貸料、資材費、薬品購入代金、医療器材・医療機器代金、リース料(レセコン、など)、メインテナンス料金、運転資金、借入金返済、利子返済、保険料、水道・電気・電話代金、会計士など管理部門への支払い、等々、出て行くものは「確実に出て行く」のに、医療費というのは、医療機関(医師)が請求しなければ「確実に入って来ない」ものであるという、冷酷な現実を押さえておかなければなりません。

ですから、我々は、あるルールの中で(これを保険医療養担当規則と言います)取り漏れなく、監査に耐えうる整合性をもって、「保険診療で取れるものはすべて取る」という姿勢で診療をしなければならないのです。他のいい方をすれば、「保険診療におけるカルテ」は、医療行為の正当性を明らかにする「明細書」「見積書」なのだということを、しっかりと認識しなければなりません。

考えてもみて下さい。自分がした診療内容をカルテに「全て」記載するなどということは不可能です。書かなくても自分の頭の中に熟成するまでしまっておいたり、「書かなくったって、誰がみたってわかるじゃない」などというものがあるということは、我々臨床医であれば当然と思っていますが、「保険者の審査や厚生省の技官の監査」にはこの言い訳は絶対に通じません。たとえ長い時間を使って懇切丁寧に患者に病状を説明しても、「書いてない(検査結果をカルテに書き移して、説明の内容を逐一書いていない)」ということは、「医師は何も考えず、患者に何もしなかった」ということになるのです。

即ち、
・ 「書いてないものを請求するとは何事ですか!不正請求です!」
・ 「病名が書いていないじゃないですか、診断しないで薬を出すとは、不正請求です!」
・ 「病名が書いてなければ、規定により診療費は支払いません!」
・ 「本人の希望?医師の判断で必要だと認めたのではない?それを保険で請求するとはけしからん!それは自費でしょう!不正請求です!」
・ 「患者さんの便宜を図って倍量投与?長期投与?それは保険医療養担当規則違反です!不正請求です!」
・ 「くすりだけ?なんですかこのカルテの記載は!無診投薬は厳重にやってはいけないことになっているのですよ!」
・ 「不正請求分は返還しなさい!!勧告します!!」
などということになるのです。

また、先生の今書いているカルテは、医事紛争などのときに裁判所に提出される「資料」として用いられる、ということを常に念頭に入れて書かなくてはなりません。この場合は、裁判所では「これはどんな意味ですか?」と聞いてくれて、こちらが必要な説明をする事が出来るのでやりやすいのです。しかも、弁護士が付きますから、医学的に正しければ全く問題ありません。

しかし、「冗談」や「不注意」に不謹慎なことをカルテに記載するなどということが決してないように、また、インフォームしたことを詳細(医師が不合理にも不利にならないよう)にカルテに残すという努力をしなければなりません。今後の「カルテ開示」時代には絶対に必要な、自己防衛手段(テクニック)と言えるでしょう。

きっと、神経質すぎると思われるかもしれませんが、全く安全な追い越しをした際や、誰も走っていないような安全な道で、「覆面パトカー」や、あの悪名高い「ねずみ取り」で捕まったことがあれば、あるいは、誰にも迷惑をかけていない広い道路なのに、神経質な住民の通報により駐車違反で捕まった、などといった経験があれば、あの不条理さ、あの腹立たしさ、あの時間を取られる煩わしさ、を思い出せるはずです。そして、常に捕まらないための細心の努力をしておいた方がずっと良いのに気付くはずです。

是非、こんなことを考えながら、大学や病院、クリニックなどでの「カルテの記載」に注意を払っていただけたら有り難いと思います。


****心得の4****
大藪先生

前略 いつもお世話になっております。

さて、先日先生の診療した患者さんからクレームが来ました。「先生から失礼なことを言われた。もう絶対にあの先生にはかかりたくない。」と事務に電話があったようです。

この患者さんは、実は昔から知り合いの歯医者さん(私の患者さんでもある)の所で働いていた歯科衛生士で、エアロビクスのインストラクターもやっていた人で、先生の心配したような関係はありません。恐らく、花粉症の治療に来られたと思いますので、それ以上の診療は必要なかったと思います。臨床医は、患者さんが「何を望んでいるか」そして、「何を望んでいないか」を素早く見分けることが最も必要です。

若い医師は、どうしても、「自分一人だけがこの患者さんを救える医師なのだ!」と考えてしまいがちですが、これは「とんでもない間違い」です。本当に非力な新米医師なのです。ですから、それなりに低いレベルから始めていかなければなりません。「私はまだ卒後3年の成り立ての医者ですから、良く分からないんです。院長先生が明日見えますので、もう一度(あるいは来週の午前中に)おかかり下さい。」と言っていいのです。

あるいはそのくらいの心積りでいた方が、間違いを起こしません。分かった積り、知っている積り、が積り積って間違いが起きます。そうならないように虚心担懐、自分の背丈に合った診療を心掛けて下さい。そうすれば、先生が実力が付いた時には、そのままそれが100%先生の身体に身について、「風格」となるのです。

外から見れば、「若いのに偉ぶってらぁ」と見られていても気が付かないのは、東大卒で28才で地方の税務署長となって、年上の地方公務員に偉ぶっている、今の大蔵官僚と同じように滑稽だということです。私立大学の医学部卒の医師は、こうした医師には絶対にならないぞ!という決心が必要です。患者さん中心に診療をするのです。ですから、患者さんが満足してクリニックを出て行こことが、最も大事な医療サービスだと心得て下さい。

中には、そうしてもだめな患者さんもいて、それはそれで、余所へ行っていただければよいのです。先生だけが、院長だけが医師ではないし、神津内科クリニックだけがクリニックではないのですから。しかし、いつも、そのために最大の努力をしたか、ということを反省する必要があります。

抗生物質が必要かな?と思う患者さんがいても、「抗生物質はどうしましょうかね?」と聞いて、「必要ない」といえば、「そ、そうですね。一応一般的なお薬で様子を見てみますから、何か変化があったら、いつでも来て下さい。」と対応しておけば、自然経過を見て、抗生物質無しで治ってしまえば、「あの先生は適切な治療をしてくれた」となりますし、症状が悪化すれば、「ああ、やはり先生の言うことを聞かなかったから治らなかったのだ、今度は先生の処方どうりに服用しよう」と、信頼を得ることが出来るのです。

それを、強引に抗生物質を処方して、もし副作用が出れば、「私はいらないといったのに、あの医者が出した薬のせいでえらい目に合った。」となりますし、効果がなければ、「効かない高い薬を出して、あの医者は儲け主義のやぶ医者だ。」となります。ですから、患者さんのニードが何かをきっちりと判断できる技量が、優秀な臨床医になる秘訣なのです。勿論、その前提となる医学的知識や検査・薬の知識はあっての話しですが。

ですから、いつも最初は、薬は少な目、検査も必要最小限で止めておきます。「だそうかな、やろうかな」の半分から6割くらいで丁度良いくらいだと思って下さい。

診断能力は、検査をオーダーする能力ではないのです。「時の味付け」を待つ余裕が診断能力を格段に高めることを知って下さい。十分な理学的所見と木目細かい問診があって、それを補足するために検査があることを忘れてはなりません。診断能力が落ちる医者ほど「検査」を出すのです。それは検査のオーダー量と反比例しています。

さて、それでは、基本的な「診察」法を伝授しましょう。

診察法第一章

一、 患者さんが入ってきたら、メイッパイ笑顔で迎えましょう。

二、 はじめまして、大藪です。と名乗りましょう。

三、 どうぞお掛け下さい。と椅子をすすめましょう。

四、 外が寒かったら、「今日は寒いですねェ」「雨が降っていますか?」とice brakeをおきましょう。

五、 問診表を見て、かなり前からだったら、「随分前からですねぇ」と受容的に話し掛けましょう。

六、 肝心なことは、「今一番つらいのは?」、と聞くことです。患者さんが取って欲しい苦痛は、「今一番つらいこと」なのです。これを治すことが最も大事だと知りましょう。

七、 診察する時には、女性は、ブラジャーを付けたままで聴診すること。そうすると、まず最初に安心感を与えることが出来ます。そうすれば、必要があれば、お願いすれば素直に取ってくれます。反対に、患者さんを防御的にさせたら、ラポール、信頼関係がなくなったら、正しい診断は不可能だと思って下さい。

八、 必ず、必要最小限の診察にとどめます。患者さんに「そんなことまで、必要ないんじゃない?」と疑問を持たれたら、診察はうまくいきません。しかし、自分が必要だと思ったら、そして、それをきちんと患者さんに説明できるなら、あと一つ加えても良いでしょう。

九、 内科ですから、婦人科的なこと、泌尿器科的なことを、絶対に女性に行ってはいけません。

十、 懐疑的な患者さんの場合には、必ず家族を一緒に診察室に入ってもらいます。また、看護婦を必ず同席させます。初めから医師を信用しない患者さんは、後で何を言われるか分かりませんから、第三者の同席を求めることが大切です。

十一、 医師は、患者さんが座っている椅子の周りをまわって背中を診察します(これが本当の「患者中心主義」)。

十二、 腹部を診察する時には、必ずバスタオルを掛けてあげます。

十三、 診察中は、所見を必ず言葉に出して話します。「のどは腫れていませんね」、「胸の音は少しプツプツという気管支炎の音がします」「お腹は柔らかいですね」など。

十四、 診察が終わったら、総括を話します。そして、診断、これは「仮診断」でよいのです。そして、その根拠を説明し、それに対する対処法を教えます。必要があれば、検査をオーダーします。これも、何故その検査が必要なのかを説明します。また、必要があれば、薬を処方します。そして、その効果、飲み方を説明し、必要があれば、注意する副作用を話します。それだけの知識も技量もまだなければ、取り敢えず次の医師に繋ぐこと。

十五、 患者さんが運良く再診して、「どうですか?」、「大分良くなりました。」といったら、「そうですか、それは良かった。」と共に喜びましょう。もし、「良くならないんです」といったら、「そうですか」とまず受入れておいて、前回のカルテを見ながら、「せきは?のどの痛みは?」と聞くと、必ず一つ「あ、それはもう良くなりました」という個所がありますから、「あ、それは良かった」と改善していることを知らせて少し安心していただきましょう。そして、「それでは、今回はお薬を変えてみますから」と次の治療方針を伝えます。何回か通院が必要な場合が当然ありますから、こうして来ていただければ、必ず患者さんの信頼が得られる診療が出来て、治療が完全に出来るはずです。

十六、 検査結果を患者さんが「これ、いただけますか?」と聞かれたら、差し上げても良いものであれば、あげた方がよいでしょう。但し、レントゲンは「クリニックには、5年間の保管義務がありますから、写真はお上げ出来ませんが、いつでも貸し出しいたしますから、おっしゃって下さい。」と説明して下さい。もし、説明できないものや、懐疑的な患者さんの場合などがあれば、「院長先生にお願いしておきますから、是非お聞き下さい」といって結構です。こういう風に、さっとうまく「逃げる手」も、臨床をやる上では大切です。

十七、 患者さんの夫や妻、子供や両親が来るようになれば、あなたは、立派な外来臨床医です。

私のところには、女性が多いのですが、「女性客の多いレストランは、安くて美味しくて、サービスがいい」ということと同じなのです。ですから、女性の患者さんからお叱りを受けるというのは、神津内科クリニックにとっては大変な痛手だ、と思って下さい。今回の経験を生かして、今一段成長して頂けることを望んでいます。頑張って下さい。

追伸:そうそう、私のところには、暴力団の組長と奥さんも来ています。こうした人は、一般の人と殆ど見分けが付きません。いつも精一杯の「笑顔」で「誠実」に、患者さんに対応していれば、絶対に問題にはなりませんから、安心して下さい。老婆心まで。


****心得の5****
大藪先生

前略 いつもお世話になっております。
さて、先日先生の診療した患者さんからクレームが来ました。
「私の実家は病院だが、電話をしたらそんなに窓口で取られるわけはない、といわれた。明細を出して欲しい。」と事務に電話があったようです。以前、外来医師の心得4で、以下のようにお話ししましたね。

--------------------------------------
『検査も必要最小限で止めておきます。「だそうかな、やろうかな」の半分から6割くらいで丁度良いくらいだと思って下さい。
診断能力は、検査をオーダーする能力ではないのです。「時の味付け」を待つ余裕が診断能力を格段に高めることを知って下さい。十分な理学的所見と木目細かい問診があって、それを補足するために検査があることを忘れてはなりません。診断能力が落ちる医者ほど「検査」を出すのです。それは検査のオーダー量と反比例しています。』
-------------------------------------

この方の検査項目を見ると、梅毒血清反応からHCVから何でもあり、で出していますね。私の外来でこうした出し方はしません。
まず一般的なKPB(註:神津内科クリニックの総合検査;スクリーニング)くらいで結果を見て、なお疑問な点があれば一つずつ加えて行きます。それも、どれがいくらかかるか、と患者さんの財布の中身を心配しながら出します。

もし、こうした出し方を○△大学で身に付けたのだとしたら、大きな間違いをしていることになります。しかも、大学が医療費高騰の元凶だということになりますね。「精査」というのは、何でもかんでも検査して否定する(診察による診断能力があれば、検査しないでも否定出来るのに!)というのとは訳が違うのです!的を絞ってきちんとした理論的な根拠を説明出来なければいけません。

次回からは、こうしたことのないように、重々気を配って下さい。宜しくお願いいたします。


****心得の6****
大藪先生

前略 神津内科クリニックのスタッフも先生の診療に信頼を寄せておりますので、今後とも宜しくお願いいたします。従ってあまりご注意することはないのですが、気になることだけをメモいたします。

一、 最近のかぜ症候群の流行はすごいものがあります。外来の混雑は「大学病院並みですね」と患者さんに嫌み(?)を言われるほどです。点滴も多くなっていますが、500mlの点滴では時間がかかり過ぎます。特に、クリニックの患者さんは時間に追われていたり、待合室での混雑もあったり、外来が終わり近くになると、先生は指示だけしてお帰りになってしまいますが、その後点滴が終わるまでスタッフが残らなければなりませんので、出来るだけ200mlのボトルを30分で落とすようにお願いいたします。これでも十分、症状は改善します。

二、 私が処方する時のアイデアは、その患者さんにとっての処方を考えた時に、自分のあるいは患者さんの手のひらに、その処方したカプセルや錠剤や粉薬が乗っていることを頭で想像して、その手のひらにちょうど良い数や種類で、色や形、大きさや飲みやすさ、といったバランスが丁度よく取れた処方が良い処方だと思っています。カプセルばかりでも可笑しいし、錠剤でも小さいものをちょっと付け加えるかどうか、など、自分で考えてみると良いと思います。

三、それから、漢方薬も処方の選択肢の一つに入れるように、少し勉強して頂ければ有り難いと思います。

以上、どうぞ宜しくお願いいたします。


****心得の7****
大藪先生いつもお世話になっております。

患者さんからクレームが付きましたので、お伝えして今後の診療に注意をしていただければ幸いです。

患者さんは代田和歌子さんです。訴状の論点を整理してみますと。
--------------------------------------------------------
一、 ちょっと喉を見ただけで、入院といわれた。外来診療で十分対処可能ではなかったのか?
二、 連絡が付くようにしてあるから」といわれたが、行ってみると何の連絡も無く、2時間以上待たされてつくづく困窮した。
三、 外来の医師(第4内科)は、「何しに来たの?」という失礼な態度であった。看護婦も同様であった。
四、 返事を書くから」といわれたのを、朦朧とした意識の中で病院を出た後に気付き、電話をした所、「そんなこと言ったっけ?」と無碍に扱われた。
五、 その後さらに症状は悪化し、「これでは、時間を浪費した上、無駄にお金を取られて、医療過誤と損害賠償で訴えてもと思っている」。
---------------------------------------------------------
以上です。

病院勤務の医師は、何でも病院へという意識がありますが、患者さんの満足度は決して良くありません。医療サービス、というのは、患者さんが心地よく扱われる、少しでも症状が軽くなる、ということに尽きます。

今回は、まず第一に、笑顔で大学の医師や看護婦が「大藪先生の患者さん」を迎えてくれて、「大藪先生にはお世話になっていますので、何でもしますよ」という態度であったら良かったのです。これは、地域の開業医の先生からの依頼の患者さんの場合も勿論、同様です。

第二に、「大藪先生が入院とおっしゃったのなら、まず病棟を探してみましょう」という、「大藪先生の指示は正しい」という安心感を患者さんに与えるactionを、大学病院が側が取らなければ、患者さんはその時点で「初診医の判断は間違っていたのでは?」という疑いをかけることになり、それが「医療過誤では?」という不安に繋がってしまうのです。これは、地域の開業の先生からの場合も一緒です。

第三に、患者さんの「つらさ」を、忙しさにかまけて「感じなくなってしまっている」救急外来の冷淡さに問題があります。誰かが、「おつらいでしょう?何かhelpすることがありますか?」という問いかけが出来る余裕のある事が必要です。それが、普通は婦長なのですが、これがうまくいっていないようですね、□△大○×病院は。

これは、誰でもが通る道です。この状況を改善するように努力する事で、より良い臨床医になれるのだと確信しております。どうぞ明日からの診療に役立てて下さい。